業務システム
システム開発の経験と知識の棚卸-導入したシステムが使われなくなる理由
システムを導入したもののいつの間にか使われなくなってしまった、という話を耳にする機会は決して少なくありません。
今回は導入したシステムが使われなくなる理由について少し掘り下げて考えてみようと思います。
情報システムの根幹は情報の入力と加工、出力です。
「情報の入力」とはシステムに情報を蓄積するための入力処理を差します。
例えば、新規の顧客を登録したり、注文を入力したりといったことが挙げられます。
「情報の加工」とは蓄積された情報を用途に応じて抽出/整理する処理を指します。
例えば、特定の顧客の注文情報を抽出し、注文日、注文番号順に並べる、といったことが挙げられます。
「情報の出力」とは加工された情報を画面に表示したり、印刷したり、メールを送信する処理を指します。
例えば、注文一覧を画面に表示したり、見積書を印刷したり、といったことが挙げられます。
導入したシステムが使われなくなる理由についてお話を伺ってみると幾つかの共通点があることが分かります。
導入したシステムが使われなくなる理由
(1)システム導入「前」に効果の”予測”がなされていない。
(2)システム導入「後」に効果の”測定”がなされていない。
(3)システム導入のメリットとデメリットの評価が不十分。
システムを導入することは良いことばかりではありません。
メリットとデメリットがあります。
メリットがデメリットを上回る場合はシステムを良いサイクルで運用することが出来ますが、逆にデメリットが上回るとシステムを運用し続けることが困難になります。
システム導入のメリットとデメリットの評価のヒント
(1)誰が入力するのか?
(2)入力に必要な工数はどの程度か?
(3)出力結果が得られることでどの程度業務に貢献するのか?
(4)誰が出力結果を利用するのか?
「誰が?」という点は見落とされがちですがとても重要です。
システムは情報を入力しなければ出力を得ることが出来ません。
出力結果を利用する人にとってはシステムを導入することによって恩恵を受けることが出来ますが、
入力する人にとっては従来業務に「入力業務」が増えることになってしまいます。
理想的なのは入力する人と出力結果を利用する人が同じであることです。
自分が利用する情報を自分で入力するのであれば入力作業に対するモチベーションを維持出来ます。
これらの情報がシステム導入/システム開発を検討する際の一助になれば幸いです。